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6月9日(土)、第86回学習院大学史料館講座
「辻邦生《背教者ユリアヌス》をめぐって-美術と文学の観点から-」が
学習院大学目白キャンパス百周年記念会館にて開催され、
一般の方、学習院関係者合わせて519名が参加しました。

ユリアヌスは、ローマ帝国がキリスト教を国教とした後に、
キリスト教への優遇を改めた最後の皇帝として知られ、
そのことからキリスト教側から見て「背教者」と表現されました。

辻邦生47歳の作品である「背教者ユリアヌス」。
主人公ユリアヌスは、この物語の中で、美術や哲学、歴史など、
人間の生み出すものを深く愛した人物として描かれます。
誕生から死までを描く長大な物語の中で、
その端々に語られるユリアヌスの人生に影響を与えるモザイク画や装飾、古代美術、歴史や知への愛。
それを描写する辻邦生のきらびやかな文体や多彩な言葉選びのセンス、
修辞技法が存分に発揮された代表作の一つで歴史ファンタジーの名作といわれる作品です。

この講座は2部構成になっており、第1部では美術史家の金沢百枝氏により、
物語の中で語られた美術品について、実物やモチーフを示し、
制作された背景や特徴を解説、美術史学的な観点から作品世界の理解を深めました。

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(写真:金沢百枝氏)

金沢氏は辻邦生の奥さまである佐保子夫人とも交友があり、
辻邦生の著作「背教者ユリアヌス」では、ユリアヌスがギリシャ的な古代世界から
キリスト教的なものへと世界が変化することを、
「繋ぎ止めようとする」最後の人物として描かれるのに対し、
佐保子夫人の研究は、キリスト教美術が、古代のものや異教的なものを、
どのように借用していったのかを明かにしようとするものだったと語り、
テーマに対する夫婦間の対照的な照射を興味深い点としてご指摘されました。

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(写真:加賀乙彦氏)

第2部では小説家・精神科医で辻邦生と友人だった加賀乙彦氏が、
パリ留学時代や、加賀氏に小説を書くことを決意させたやりとりなど、
実際に言葉を交わした人間・辻邦生の思い出をユーモラスな語り口でご紹介いただきました

関連展示が辻邦生の命日である7月29日の「園生忌」に合わせて開催されます。

・展覧会情報
《背教者ユリアヌス》展 日時:7月18日(水)~8月11日(土)10時~17時(閉室:日曜日)
 会場:学習院大学史料館(北別館)内

・朗読会
日時:7月27日(金)第1回11時~、第2回13時30分~
会場:学習院大学史料館(北別館)※入場無料・事前申し込み不要 定員先着30名

是非お越しください。

学習院大学史料館ホームページはこちら

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