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高等科3年・選択生物の授業(担当:鍋山 航 教諭)では、
1年間を通して大学の生命科学の分野に直結するような実験を行っています。

11月は身近な食材のタンパク質を電気泳動で調べる実験(SDS-PAGE)を行いました。
鍋山先生からのレポートが届きましたのでご紹介します。

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(写真)授業の様子

身近な食材からタンパク質を抽出し、タンパク質に電荷をかけ、200Vで電気泳動すると、
その食材がもっているタンパク質を「バンド」とし確認することが出来ます。

今回、身近な食材として、
鶏肉、豚肉、マグロ、サーモン、カンパチ、マダイ、ヒラメ、イカ、甘えび、ホタテの刺身、
キノコのマイタケを用意しました。

これらのサンプルをチューブにいれ、サンプルバッファーに浸し、撹拌(かくはん)したのち、
上清を100℃の熱湯でボイルしました。

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(写真)実験の様子:サンプルを入れたチューブをサンプルバッファーに浸し、撹拌する


これにより、タンパク質の形が立体的だったものから、直線的な状態に変化し、
さらに電荷を持つ状態となり、ゲル(ポリアクリルアミドゲル)の中を泳動することが可能となります。

本来、タンパク質はそれぞれ固有の形があり立体的なのですが、
上記のような処理をすることで立体がほぐれ、直線状、つまりひも状になります。
ひも状になったタンパク質の長さは、タンパク質の種類によって固有です。

そしてこれらタンパク質をゲルの中を泳がせると、長さの長いタンパク質はスローで移動し、
長さが短いタンパク質は速く移動します。

このため、組織や細胞の中にある何万種類もタンパク質を一斉に「用意・ドン」させると、
長いタンパク質はあまり移動できず、短いタンパク質はたくさんの長い距離を移動し、
そこに差が生まれます。

簡単に言うとゴールのないマラソン大会のような感じで、
スタート後に一定時間が経過した時点で、全員その場に停止してもらい、
その状態を真上から見たことをイメージすると分かりやすいです。

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(写真)実験の様子:サンプルから取り出したさまざまなタンパク質をゲルの中で電気泳動させる

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(写真)実験の様子:5日後、できあがったゲルを染色し、解析する

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今回の実験結果です。
比較するために、一番左は分子量マーカーといって、目安を流しており、
左から2番目は、アクチン・ミオシンのスタンダードを流しています。

今回調べたニワトリからマイタケまでを横に比較すると、
種を超えて共通しているバンドと、それぞれの種で固有のバンドが見られます。

実験の結果、

1)種によってタンパク質の種類が異なっており、それがバンド模様の違いとして確認できること
2)一般的な生物系統樹の中の、近い種どうしは電気泳動のバンドパターンが類似しているが、
  系統樹の中でも離れた種どうしは、パターンが大きく異なっていること

ということが明らかになりました。

中でもマイタケはかなり変わっているだろうと予想して流しましたが、
昨年のエノキに引き続きタンパク量が不足気味で、残念な結果となりました。


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