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6月1日、6月8日の2日間にわたり、
高等科3年・選択生物の授業(担当:鍋山 航 教諭)を取材しました。
この授業では、1年間を通して
大学の生命科学の分野に直結するような実験を行っています。

今回は、「PCR実験(ポリメラーゼ連鎖反応)」を行いました。

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(写真)高等科の生物実験室にて

この実験では、頬の口腔上皮細胞からDNAを抽出し、
DNAポリメラーゼ(合成酵素)を用いてDNAの複製を行います。

DNAは本来、量がとても少ないため肉眼で見ることはできませんが、
PCR反応にかけることで膨大な量に複製することができます。
膨大に増やしたDNAを観察してPCR反応の原理を学びます。

■1日目■
実験は、空気中の小さな埃などが入らないよう、
マスクと手袋を着用して行いました。

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(写真)口腔上皮細胞から抽出したDNAにキレート剤を加える

キレート剤を加えることで、DNAの分解を防ぎます。

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(写真)キレート剤を加えたDNAサンプルをボルテックスミキサーで懸濁する 

その後加熱し、DNA分解酵素のはたらきを止め、
細胞を破砕してDNAを抽出します。

そして約3時間、温度変化を伴いながらDNAを複製させる「サーマルサイクラー」
という装置にかけて、95℃→60℃→72という温度変化サイクルを40サイクル行います。
これによりDNAを2の40乗という膨大な量に増やしていきます。

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(写真)サーマルサイクラー

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(写真)サーマルサイクラーに、サンプルをセットする

■2日目■
PCR反応を終えた生徒たちのサンプルを
アガロースゲル(寒天)電気泳動にかけ、透明なゲルを視覚化しやすいように染色します。

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(写真)電気泳動装置のアガロースゲル(寒天)に、増やしたDNAを注入する

電気泳動後、実験の結果を観察しました。

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(写真)流水でゆっくりとゲル染色液を洗い落とし、結果を観察する

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(写真)アガロースゲル電気泳動の結果[1日目]

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(写真)アガロースゲル電気泳動の結果[2日日]

今回、第16番染色体にある、PV92と呼ばれる領域の
「Alu配列」という、特徴的な配列の有無について調べました。
Alu配列は、霊長類に特異的な反復配列で、
ヒトゲノム(人間の遺伝子情報)の約10%を占めます。

個人によって、Alu配列を2つ持つ人「++」(ホモザイゴス)、
Alu配列を1つだけ持つ人「+-」(ヘテロザイゴス)、
Alu配列を持たない人「--」に分けられます。

実験の結果、
[月曜日]
14人中8人が「++」、2人が「+-」
[水曜日]
6名中4名が「++」、1名が「+-」、1名が「--」であることがわかりました。

このAlu配列の本機能や生物学的な意義は明らかになっていませんが、
ゲノム解析技術の進歩に伴い、その解明が日々進められています。

高等科の選択生物では、このように最先端の研究に触れながら、
より高いレベルでの学びを深めています。

次回は、「pLGOバクテリア遺伝子組換実験」の授業風景をお届けします。

学習院高等科のホームページはこちらから

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