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10月28日、11月4日、11月18日の3日間、
高等科3年・選択生物の授業(担当:鍋山 航 教諭)を取材しました。
この授業では、1年間を通して大学の生命科学の分野に直結するような実験を行っています。

今回は、マウスの組織標本作製の授業を行いました。

マウスの脳、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、骨格筋、精巣を
ホルマリンに漬けて防腐処理し、
その後、凍結ミクロトームで厚さ10μmの超薄切片にします。

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(写真)マウスの部位を超薄切片にする

今回は、凍結ミクロトームで切片にしたものを
二つの方法で染色しました。

一つは、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色です。
ヘマトキシリンで核を青色に、エオジンで細胞質をピンク色に染めます。
これによって、透明な組織標本ができあがります。

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(写真)エオジン染色でピンク色に染める

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(写真)完成した標本

その後、この標本を光学顕微鏡で観察し、スケッチをしました。

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(写真)真剣に観察、スケッチする様子

もう一つは、蛍光染色です。
蛍光ファロイジンという物質を用いて、
アクチンタンパクを特異的に染色し、観察します。
アクチンタンパクは、どの細胞にも必ず含まれているタンパク質のことです。

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(写真)蛍光ファロイジンを使用して、蛍光色に染める

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(写真)完成した標本

蛍光染色したものは、
光を遮断し、蛍光顕微鏡を使って観察しました。

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(写真)暗い部屋の中で、組織標本を観察する

実際に観察した、マウスの組織標本をご紹介します。

<小脳>
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(写真)HE染色した小脳

小脳のしわが良く見えますね。

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(写真)蛍光染色した小脳

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(写真)小脳のしわを拡大

a...分子層、b...顆粒層、c...白質
矢印は、「プルキンエ細胞」という主要な神経細胞。

<大脳>
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(写真)HE染色した大脳 海馬

記憶の中枢・海馬の部分。矢印は、神経繊維。
たくさんの神経繊維が複雑なネットワークになっています。

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(写真)HE染色した大脳 海馬 拡大図

よく観察すると、神経繊維に節が見られます。
有髄神経繊維であることが分かります。

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(写真)蛍光染色した大脳 海馬

矢印は、神経細胞の軸索(長い突起部分のこと)。

<肝臓>
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(写真)HE染色した肝細胞

矢印のように、2核の細胞が見られます。
このことは、肝臓の再生力の高さと関連するのかもしれません。

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(写真)蛍光染色した肝小葉

中心静脈から放射状に延びた組織が観察されます。

<腎臓>
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(写真)HE染色した腎臓

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(写真)蛍光染色をした腎臓

a...糸球体、b...ボーマンのう、a+bでマルピーギ小体(腎小体)
糸球体とボーマンのうによって、腎臓では血液のろ過が行われます。

<脾臓>
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(写真)HE染色した脾臓

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(写真)蛍光染色した脾臓

a...白脾臓、b...赤脾臓
aの白脾臓が島状に点在していることがわかります。
bの赤脾臓には赤血球がたくさん集まっているのが分かります。
脾臓は、古い血球の破壊をする場所です。

<骨格筋>
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(写真)HE染色した骨格筋・筋繊維

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(写真)蛍光染色した骨格筋・筋繊維 

大腿四頭筋を観察しています。
矢印のように、横紋(縞模様)が無数に見られます。
Ncは核を示しています。
高等科生は筋トレがみんな大好きです。そのため、骨格筋の観察は人気がありました。

<心筋>
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(写真)HE染色をした心筋

矢印は横紋です。中央の◆印は筋繊維につながっている神経繊維です。
よく見ると、この神経繊維には節があることが分かります。
これは、有髄神経繊維である証拠です。

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(写真)蛍光染色した心筋

心筋は、構造状は横紋筋ですが、多核の骨格筋とは異なり単核の細胞です。
よく見ると、横紋(細かい矢印)が観察できます。
骨格筋よりも絡み合った構造をしていますね。

<精巣>
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(写真)HE染色した精細菅内部

矢印は精子の鞭毛と精子の頭部です。
精細管の中心部に鞭毛を集中するようにして、整然と並んでいます。

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(写真)蛍光染色した精細管

精子形成を行う精細管が無数に観察されました。
蛍光染色はとてもきれいに染色できました。

観察を終えて、生徒の皆さんに感想を伺いました。
「腎臓の構造が興味深く、とても印象的だった!」
「観察は難しい。たまに勘違いして、対象と違うものを観察してしまうことがあるので、もっと勉強を重ねていきます!」
「脳の構造の何ともいえない形が魅力的。生物と同じように美術も好きなので、スケッチには力が入ります!」

3学期は、生化学実験を予定しています。

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(写真)鍋山先生と生徒の皆さん

6月「PCR実験」の様子はこちらから
7月「pGLO バクテリア遺伝子組換え実験」の様子はこちらから
9月「GFP精製クロマトグラフィー実験」の様子はこちらから
学習院高等科のホームページはこちらから

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