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5月23日(土)、
目白キャンパスの学習院創立百周年記念会館で、
2014年にノーベル物理学賞を受賞した、
名古屋大学の天野浩教授による特別講演会「世界を照らすLED」が
行われました。

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(写真)会場の様子

公益社団法人日本表面科学会と学習院大学の共催で、
広く一般にも公開する「市民講座」として企画されたもので、
学習院の両高等科および男子中等科、
学習院大学と高大連携協定を結んでいる
都立戸山高校、私立順天高校の生徒の皆さんをはじめ、
事前申し込みをした一般の方を合わせて約1000名が聴講に訪れました。

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(写真)講師の天野浩教授

天野教授は2014年12月、
青色発光ダイオード(LED)開発の功績が認められ、
赤崎勇名城大学終身教授、
中村修二カリフォルニア大サンタバーバラ校教授らとともに
ノーベル物理学賞を受賞しました。

青色LEDの実現で、既に開発されていた赤、緑とともに
「光の三原色」をLEDで作り出すことが可能になり、
白色の照明や大型ディスプレイの実用化など、
応用の範囲が格段に広がったことが受賞の理由です。

講演では、スウェーデンでのノーベル賞授賞式前に
1週間かけてさまざまな祝賀行事が続く「ノーベルウィーク」でのエピソードや、
なぜ研究テーマとして青色LEDを選んだのか、といったところから、
LED研究やその開発の歴史などについてお話しいただきました。

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(写真)講演の様子

当日は中高生の聴講が多かったこともあり、
天野教授はとても親しみのある語り口で、
「ノーベル賞を取るためには、外国の記者に質問をされても
 即座に気の利いた回答ができるくらいの英語力と、
 ノーベルウィークの間、連続で徹夜ができるだけの体力が必要だ」と
ユーモアたっぷりにお話しされました。

また、新たな結晶を作るところからの挑戦となった
青色LEDの開発に向けた研究について、
天野教授が携わるようになった1980年代初頭は研究のための予算も少なく、
自分たちで実験器具を作り、工夫をしながら、
何千回と失敗を繰り返す中で技術を習得していったことが、
1989年の世界初青色発光ダイオードの実現につながったと
述べられました。

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ノーベル賞を受賞するまでの道のりが決して平坦ではなく、
その紆余曲折も楽しみながら乗り越えてこられたという天野教授の経験談に、
聴講した皆さんは興味深く耳を傾けていました。

講演後には質疑応答の時間が設けられ、
参加した中高生からの質問に、ひとつひとつ丁寧にお答えいただきました。

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(写真)中等科生からの質問に応える天野教授

その中で、「物理の楽しさとは?」という質問に対し、
高校の時には物理にも科学にもまったく興味がなかったこと、
大学に入ってから、原理原則は正しいのに、実際に実験してみると
教科書通りとはならない結果になることが多く、
『なぜ違うのか』を考えると、だんだん楽しくなったと話され、
必要最低限の知識が理解できたら実際に試してみようとの
アドバイスをいただきました。

現在、長寿命で消費電力の少ないLEDは、
世界中で急速に普及が進んでおり、エネルギー問題の解決の一助となることが
期待されています。

天野教授は、
『世の中のためになってはじめて研究が生きる』との考えから、
光遺伝学への応用や水問題への挑戦など、
他の分野の成果を見ながら、青色LEDをさらに活用する道を探っているとのこと。

ノーベル賞受賞という偉大な功績にとどまらず、
その先を見据えて新たな未来を切り開いていく青色LEDの
計り知れない可能性をうかがい知ることができました。


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