【授業紹介】高等科3年・選択生物「PCR実験」
2014.05.23
学習院高等科3年の選択授業
「選択生物②」(担当:鍋山 航教諭)の授業を取材しました。
この授業は、1年間を通じて実験中心の授業展開をしています。
そのなかでも、大学の生命科学分野につながる内容として、
遺伝子組み換え実験、動物の解剖と組織染色実験、
観察実験などを行っています。
今回の授業では「PCR実験」が行われました。
(写真)授業の様子
(写真)PCR実験
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)実験は、
頬の口腔上皮細胞からDNAを抽出し、
DNAポリメラーゼ(合成酵素)でDNAの複製を行います。
もともとのDNAは大変少ない量で肉眼で見ることはとてもできませんが、
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)にかけることで、
2の40乗という膨大な量に複製することができ、
これにアガロースゲル電気泳動を行うことで、
視覚的にDNAを観察することができるようになります。
(写真)実験の様子①
(写真)実験の様子②
今回、"Alu配列"と呼ばれるDNA配列に注目してPCRを行っていますが、
Alu配列は個人によりその有無が異なることを観察できます。
例えば、次のようになります。
Aさん:Alu有 Alu有 + +
Bさん:Alu有 Alu無 + -
Cさん:Alu無 Alu無 - -
PCR反応の原理を学び、DNAを電気泳動し視覚的にDNAを確認することが、
この実験の目的です。
(写真)クリーンベンチでの試薬分注の作業の様子
(写真)PCR反応を進めるための装置"サーマルサイクラ―"
この装置の中で、DNAサンプルは2の40乗という膨大な量に増えていきます。
(写真)電気泳動の結果と判定結果
このように、高等科3年の選択生物では、
1年を通して大学の生命科学の分野に直結するような実験を行っています。